就職活動をしている皆さんは、インターン、セミナー、エントリーシート、面接などに日々追われていることでしょう。
その中で様々な質問を投げかけられていると思います。
そんな時にふと、「これって一体何を聞かれているのだろう?」と疑問を抱くことはありませんか?
私が就職活動をしているとき、「面接官はどういう意図でこの質問してきたのだろう?」と思うことがよくありました。
その場では元気に回答していたけれど、本当にその内容であっていたのかな?と悩むことも・・・
私は採用担当者として数多くの方々と面接をし、その経験から「自分が就職活動をしていた時に問われていたこの質問は、採用担当者がこういう意図で投げかけてきた質問だったんだな」と、質問に隠された意味に気づきました。
この記事では、そのような採用担当者の本音をお伝えしながら、よく聞かれる質問に隠された意味や、セミナーやインターンに参加する本当の理由などをご紹介します。
この記事を読むと分かる事
・面接官から問われる質問の本当の意味
・セミナーやインターンに参加する本当の理由
もくじ
面接時の質問の意味
面接時の質問は、単に就活生の情報を得るためだけではありません。
私が面接官になった際に、実際に質問している内容を用いて、「質問の本当の意味」と「質問に答える際に意識すべきこと」を紹介します。
※実際にマニュアルがあるわけではないので、あくまでも私個人の意見としてご認識ください!
質問①:「簡単に自己紹介をお願いします」
質問の本当の意味
話すスピード、声のトーン、目線、態度など、基本的なコミュニケーション能力を確認するため。
面接に参加している人数、面接時間等から判断して、最適な長さで(短すぎず長すぎず)会話する能力があるかどうかを確認するためです。
意識するべきこと
氏名、出身校、出身学部のみではなく、自分の強みとなること(アルバイトの経験、部活の経験など)を、あわせて30秒程度で伝えると良いでしょう。
長所短所や経験については後で深堀される可能性が非常に高いので、自己紹介では頭出し程度。
アピールしたいことはたくさんあるとは思いますが、「自己紹介」の時に長々と話すことは控えたほうが良いです。
尚、集団面接の場合は、周りの人の回答の長さにあわせることも大事です。
他の人よりも長く話してしまうと、空気が読めない人だと思われてしまいますし、反対に短すぎても熱意が感じられないと思われてしまいます。
質問②:「当社の志望理由を教えてください」
本当の意味
応募者の自社に対する理解度や準備の程度を確かめるためです。
ではなぜ、確かめるのか?
それは、自社のビジネスを正しく理解したうえで、自社に入社したいと思っているのかを確かめるためです!
例えば、以下のA・B2人がいたとしましょう。
【Aさん】
私は、御社の○○というビジネスに興味があります。
なぜなら、△△という経験があり、そこで××と思いました。
そのため、私は御社で○○に携わり、社会貢献・自己成長をしていきたいです。
【Bさん】
僕は、御社のビジネスについてはまだ勉強中です。
でも、時価総額の高さや知名度的に、御社で働きたいです。
志望理由だけで見れば、ほぼ確実にAさんの方を採用したいと思いますよね?
なぜなら、Aさんを採用した場合、自社で働くイメージがつきやすいです。
すなわち、働く目標があるからこそ、Aさんは内定を辞退しにくいでしょうし、入社後もすぐに退職せずに働いてくれそうだと考えます。
また、もし志望理由として語られた思いが、自社のビジネスとは違う方向性であった場合、「やりたい仕事と違った」と早期離職してしまう可能性が高いと思われます。
会社のビジネス内容と、就活生のやりたいことが、本当にマッチしているのかを見定めるためにも、志望理由を確認します。
ポテンシャルは高いけど仕事内容に興味があるのか分からない方は沢山いますが、そのような方を採用するのはリスクが高いと考えます。
ポテンシャル以上に、仕事に前向きに取り組んでくれるかどうかの方が重要です。
余談:内定を辞退してほしくない理由
就職活動期間中、皆さんは非常に大きな労力・時間を割いて就活に挑んでいると思います。
それは、企業側も同じです。
本来であれば、収益を稼ぐことに当てたい人員を採用に回しています。
そうすることで、より良い人材を獲得し、一旦犠牲にした収益の何倍も稼いでいくためです。
内定辞退をされた分だけ、企業にとっては損失になります。
そのため、自社を十分に理解し、志望度が高い方を採用したいと考えます。
余談:入社後すぐに退職してほしくない理由
新入社員は、まだ会社の即戦力にならない場合がほとんどです。
そのため、新入社員教育を実施する企業が多いと思います。
つまり、新入社員は自分では収益をあまり上げないのに、教育のために費用が掛かる状態なのです。
教育期間中にお金をかけて育てて、いざ稼いでもらおう!と思ったら退職してしまう。
それは本当に大きな損失なので、そうならないためにも採用の際に必死に就活生を理解し、自社で働き続けることができる人材なのかを見定めようとしているのです。
意識するべきこと
企業の事業内容について正しく理解していることをアピールしたうえで、自分の経験や特徴があるから、この仕事をしたいと思っている、ということを伝えるようにしましょう。
自分がやりたいことを決めて、企業の事業内容がそれにがマッチしていることを伝えるのです。
事業内容を理解するためにも、企業のホームページを確認したり、セミナーやインターンに参加したり、OB・OG訪問で理解を深めることが重要です。
質問③:「長所、短所を教えてください」
本当の意味
長所を聞く理由は、単純に自社の業務内容・社風にマッチしているか判断するためです。
短所を聞く理由は、その短所を乗り越えるためにどんなことをしてきたのか(しようとしているのか)確認するためです。
誰にでも短所はあるもの。短所がある事自体は全く悪いことではないです。
逆に「短所がありません」という方もいらっしゃいますが、自分のことを理解できていないのではないか?
と疑ってしまいます。
意識すべきこと
よくよく考えていくと、長所と短所は沢山思い浮かぶかもしれません。
そんな時は、自分がやりたいと思っている仕事内容と照らし合わせて、長所短所を言うと良いでしょう。
例えば、営業をやりたいと思っているのであれば「コミュニケーションが得意」。逆に「コミュニケーションは苦手だったけど、社会人としては必須のスキルだと思うので、身につけるために○○をしてきました」など。
質問④:「これまで、何に力を入れて取り組んできましたか」
本当の意味
就活生の本来の人柄が知りたい。
例えば、バイトリーダーやサークルの代表をやっていた方であれば、協調性やチームワーク能力、リーダーシップリーダーシップのある方なんだと思います。
何かを成し遂げた経験があれば、努力して最後までやり遂げる力がある方なんだと分かります。
また、資格をたくさん取得した、であれば勉強熱心な方だと思います。
このように、過去の経験を聞くことで、将来のポテンシャルを見極めるために質問しているのです。
さらに、過去の経験が企業の事業内容に直結するものであれば、内定辞退や早期離職につながる可能性が低いと判断でき、企業側にとっても安心材料となります。
これまでの経験をキラキラした目で語ってくれる方もいるのですが、自社の内容とかけ離れすぎていて、この方は他の企業で働いた方が輝けるのではないか?と思うこともあります。
意識すべきこと
輝かしい経験があれば、それを語ればいいと思います。
その際には、その経験が仕事で生かせるポイントも伝えると良いでしょう。
もし、成し遂げた経験が思いつかない方は、どんな小さなことでもいいので、仕事で生かせそうな経験を見つけてください。
フル単でしたとか、授業休んだことがありませんとか、バイトは何個も掛け持ちしていろいろな経験をしましたとか、なんでも良いです。
その経験があるから、この会社で生かせると思います、ここにつなげることが大事です。
私も輝かしい経験がなかったので、「レポート等の提出物の期限は必ず守っていました」なんて言っていました。
期限を守ることは、社内でも社外でも信頼関係を構築する上で非常に重要なことなので…みたいな話につなげたり。
要は、経験のすごさ自体が大事なのではなく、その経験から将来生かすことができる内容の方が大事なのです。
質問⑤:「失敗や困難を乗り越えた経験を教えてください」
本当の意味
困難に対する対処能力や、挫折からの学び、反省・改善力を知り、自己成長のポテンシャルを評価するため。
失敗はつきもの。しかも入社して間もない社員は右も左も分からないので失敗の連続です。
しかし、失敗で心が折れて仕事をやめてしまったり、失敗から何も学ばずに何度でも同じ失敗を繰り返したりしていては、いつになっても一人前になれません。
努力して、挑戦して、失敗しながらも成長していける人物かどうかを確認しているのです。
意識すべきこと
失敗した経験を詳しく語るのではなく、その失敗から学んだことや、具体的にどのようにして乗り越えたのかを詳しく話すようにしましょう。
これも、どんな些細な失敗でも良いです。
失敗の大小はあまり関係ないです。失敗の後どうなったのかを壮大に語りましょう。
質問⑥:「将来のキャリアプランはありますか」
本当の意味
正直な話、入社前から正確にキャリアプランを決めている方は少ないと思います。
実際に入社して、時間をかけて社内を知ることで、キャリアプランが固まっていくものだと考えています。
そのため私が就活生時代は「そんなこと今聞かれても困りますよ」と思っていました。
しかし、実際に面接官としてこの質問をする際には、
自社に入社したらどんな仕事ができるのかを正しく理解できているか、目標を高く持っているのか、を評価するために質問をしているんだと気づきました。
例えば、以下のC・D2人が、証券会社の面接を受けているとしましょう。(かなり端折った例になっています)
【Cさん:証券会社との面接時】
証券営業を通して、社会貢献がしたい。
そのために、営業職について経験を積み、将来は支店長になりたい。
【Dさん:証券会社との面接時】
とりあえず社会に貢献できることがしたい。
ポテンシャルは高いから、何をやってもうまくできると思う。
Cさんは、証券会社で働くイメージがついていそうだと思いますよね。入社後のイメージの相違で早期離職するリスクも低そうです。
一方Dさんは、具体的に語られていないので、企業側からすると何も分からないです。
意識すべきこと
ざっくりとした内容ではなく、具体的に絞って伝えるようにしましょう。
またそれが、メインの事業や、力を入れ始めた事業であればさらに良いです。
例えば、銀行の面接で「保険をたくさん売りたい」と言われれば「それなら保険会社に就職したら?」と思います。
確かに保険を扱うことはあってもメインではないので、自社には適さないのではないかと思ってしまいます。
その場合は、なぜ銀行で保険を売りたいのか、そこの理由が話せるようにしましょう。
インターン、セミナーに参加する本当の意味
企業によっては、インターンの参加やセミナーに参加することで、就職活動が有利になることがあります。
私が就活生の頃は、有利になるから仕方なく参加していました。
でもそれは、就活生の時間を奪うためにやっているわけではありません。
やりたい仕事が決まっていても、実際にその仕事ができる企業は1社ではありません。
例えば、自動車であればトヨタ、ホンダ、日産など、たくさんあります。
そこでどのように企業を選ぶかというと、細かい取り組み内容も大事ですが、社風も大事になってくると思います。
実際に社員と会話することで、社風を感じてほしい、という意図もあるのです。
エントリーシートの意味
エントリーシートでも、問われる内容は上記の面接時の質問と大差はないと思います。
与えられた文字数で、ポイントが伝わるように記載しましょう。
尚、面接時にエントリーシートも確認しながら質問をすることもあります。
そのため、もしエントリーシートの内容と面接時の内容が異なれば、ん?となりますので、嘘偽りなく書きましょう。
最後に
面接官は、嫌がらせのためにたくさんの質問をしているわけではありません。
皆さんの自社への本当の志望度を知りたいと同時に、自社で働いていける人材なのか(すぐに辞めないか)を把握するために質問をしています。
嘘で固められた志望理由や熱意は、質問への回答内容ですぐに分かります。
面接官はただ「優秀な人材」を集めたいわけではありません。
やりたい仕事に就き、やりがいをもって働いて、その結果成果を出してくれる人材を集めたいのです。
面接は、就活生が自社で輝けるのかどうかを、面接官と就活生で話し合いながら確認する場だと思っています。
変な嘘で固めず、ありのままに熱い思いをぶつければ、きっとうまくいくはずです。
皆さんの成功を願っています。